たんぽぽニュース 108歳を迎えられた方のお看取りに至った経過とご家族様の手記のご紹介
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 108歳を迎えられた方のお看取りに至った経過とご家族様の手記のご紹介
 <訪問看護の関わりの経過・・たんぽぽ訪問看護むれ 所長前田>

106歳のAさんは、お看取りを目的としてご自宅に退院されました。その後2回、お誕生日を迎え、108歳を迎えられた1週間後にご自宅で永眠されました。
訪問看護のご利用期間 平成25年1月28日~平成26年3月27日
 <ご利用者様の病状の経過>
 ご利用者様は平成24年12月(106歳)に嘔吐した際に誤嚥、重症呼吸不全を起こし近医に入院し、気管挿管・人工呼吸器を使用する状態となりました。一時、状態が改善したため、人工呼吸器を外し、経口から食事を再開しましたが、肺炎を再発。その後、全身の衰弱が進み、改善が困難と判断されたため平成25年の1月28日にご自宅でのお看取りを目的として退院。退院日より、訪問診療と訪問看護が開始となりました。
 当初、ご家族からは「なんとか、3月の誕生日が迎えてあげたい」とのご要望がありました。しかし、在宅酸素や点滴・膀胱留置カテーテルを使いながらの重症の状況。苦しさから酸素マスクを外したり、点滴を抜いてしまったり、そのことでシーツが血液まみれになって発見したご家族が仰天されたり。点滴や痰の吸引等、苦痛を伴う処置も多くなったのですが、徐々に状態が改善し経口から少しずつ食事が摂れるようになりました。
 そして在宅酸素や点滴・膀胱留置カテーテルが外れ、無事に107歳のお誕生日を迎えられました。その時、ご利用者様は極度の難聴のために筆談で「ありがとう」、「そばが食べたい。」との希望を話されるまでに回復しました。
 その後、ご家族様を中心に訪問診療やホームヘルパー、私どもの事業所からは看護師やPT、STが訪問させていただき、トイレにつかまり立ちで行ったり、近くの公園に車イスで散歩に行ったりできるまでになりました。
 退院から1年が過ぎた頃、脳梗塞を発症されて一時は意識不明となり、ベッド上の生活となりました。点滴や痰の吸引が再開され、吸引はご家族様にも練習して行っていただきました。発熱を繰り返し、呼吸が不安定になることもあり、ご家族は疲労困憊の状態になりましたが、熱心で献身的な介護をし続けました。危険な状態の中で、早目のお誕生祝いをしてあげたい!私共は考えましたが、一日一日を見守り何と2度目のお誕生日を迎える事が出来ました。千葉と事業所のスタッフ全員が駆けつけ、ご家族様のお手製のケーキを皆で頂き、Aさんを囲み記念写真を撮りました。
 そして、108歳の誕生日から7日後に静かに息を引き取られました。
母を自宅で看取って思うこと(ご家族様)
  1. 家で看取ることに家族皆で決めて母を迎えた
    「自宅で親を看取る経験は初めて。周囲でも聞いたことがなかったので驚きの連続でした。
     特に往診医と訪問看護師の連携プレーの良さに感動しました。医療体系が変わった!と感じました。
     家に帰りたい!と母は望んでいました。病院で先生に、“もう最期”と言われ、1日でも2日でも家で過させてあげたいと家族で決めて退院させたのです。それが何と、母は皆さんのお蔭で、1年余りおまけの人生を過ごせたのです。
     介護している私自身は、24時間『拘束されている』と感じたのは偽りではありません。
     しかし、テレビ等で様々な方々の様子を見ていると、私の場合は感謝の一言です。本人は徘徊もなく、皆と仲良く暮らしてくれたので本当に良い1年だったと感じています。家族も皆で協力して介護ができて満足しています。皆さんにも在宅介護を勧めたいです」
  2. 更にこんなことが出来たらもっと良かったなと思うこと
    「痰取りは母が入院中、とても嫌がっていた姿を目撃していたので、中々手を出せなかった。しかし、母にとっては嫌でも、勇気を出してこまめにとってあげればよかったのかなと思うことがあります。悔いはありませんがこのような思いになることも家族なのですね」
更訪問看護師として関わらせて頂いた事へのお礼を込めて・・スタッフ一同
 私たちはこのようにご自宅でのお看取りを決断されたご家族様とともに、一緒に支援させていただき、一緒に泣き、一緒に笑い、喜び、ともに最期の時を過ごさせていただきました。大変感謝に堪えません。
 私たち訪問看護師が看護に関われるのは、毎日の中のほんの数時間の支援ですが、一緒に生活されているご家族のご苦労は大変なものです。そのような中でも「皆さんにも在宅介護を勧めたいです。」とのお言葉が本当に心強いです。
 私たちは、24時間365日、往診医とご家族様と連携し、在宅でのお看取りも含めてこれからも、地域の方々の安心に寄り添うことができるように努力してまいります。

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