仕事としての介護、家庭での介護
2010年たんぽぽチャリティコンサート
 仕事としての介護、家庭での介護

■ たんぽぽ通信4月号 VOL.1 2003 ■

「仕事としての介護、家庭での介護 ~看護師Y~」

私が、たんぽぽで訪問看護の仕事を始めてから
1年が経ちました。

さまざまな家庭を訪れ、介護の現場に居合わせ、
私なりに感じたことがいくつかあります。
常に忘れてはいけないと思っていることは、
介護とは、
介護をするご家族と介護される方と、
それぞれの人生をより豊かにするための援助であるということです。

介護には、まつわる2つの状況があると思います。
それは、
「仕事としての介護」ということと「家庭の中での家族の介護」ということ。
「仕事」には“交代勤務”があるけど、家族にはそれが無いなどの表面的なことではなく、
もっと言葉にしにくい本質的な違いがあるように思います。
「職業としての介護」には「仕事」以外の
仕事とは切り離された生活時間」があるけれども、
「家族」にとっては「介護そのものが生活の一部」であるということも
その一つだと思います。

看護技術的なことも、医学知識的なことも
とても大切なことだと思うのですが、
家庭での現実的な介護を考えると、
家族が四六時中、気を張っていては、
共倒れになってしまいます。
手を抜けるところは抜いても良いけど、
心身の健康維持・増進のために、抜いてはいけないところが必ずあるはずで、
そのポイントを的確に把握し、
それを上手にご家族と利用者さんご本人に伝える力を持っている人こそ、
「職業人としての介護のプロ」である、と
最近は、思うようになってきました。

介護って何でしょう?
寝たきりの方へ寝たきりのままで頭を洗ってあげたりシーツ交換したりするのも、
確かに「介護の一部」でありますし、
同時に「看護技術の一部」でもあります。
リハビリなどのように
「自立を目指した介護」というのもあります。

知識が豊富で、技術が一流の人が
一流の介護人かというと、それも少し違う気がします。
もちろん、職業としての「目」や「知識」「技術」が
根底にあってこそなのですが、
家庭での介護に、プロが携わるということは、
技術、知識云々に
プラスアルファが必要ではないかと
思うのです。

 その“プラスアルファ”というのは、
冒頭に書いた
「介護をするご家族と介護される方と、それぞれの人生をより豊かにする」
ことを忘れない気持ちなのかもしれません。
そしてそれは、
「思いやり」とか「優しさ」とか「情熱」とか「愛情」とか、
そういう抽象論だけではないような気もします。

ご家族にとって、
「今日・明日も無事に過ごせるか?」といった切羽詰った状況こそが、
介護そのものであり、日常であったりもします。
だから、私たちは、
そんなご家族の気持ちに少しでも近づき、
ご家族のいろんな思いを、常に忘れてはいけないのだと
思います。

生活リハビリ研究所の三好春樹さんは、
そのことを単純明快に「生活についての専門家」と表現されています。
そして、「これまでそんな人はいなかったのだ。
今、私たちが“生活の専門家”になりつつあるのだ。(そうあるべきだ)」
という言い方をされます。

日々、利用者さんと接して、ご家族と接して、
何とか言葉にならない“思い”を具現化していけたら・・・。

訪問看護をしていると、
私は、よく
「 福徳円満」
という言葉を思い出すことがあります。
その言葉の意味は、
人にプラスに働きかけるような力とか、人に幸せを与える能力とかの意味のように
記憶していますが、
まさに何もしなくても人に幸せを与える能力というか、
そういう言葉でいえるかどうかわかりませんが、
少なくても、そういう「徳」というものを
感じさせてくださる方がたくさんいらっしゃいます。

難病を抱えたご主人を介護する奥様が
こんなことをおっしゃっていました。
「夫は、しゃべることも、動くこともできません。
でも、この姿を人が見て、
何かを感じてくれるために、夫がこの病気になった意味がある」と。

そう思えるまでに、どれだけの思いをし、どれだけの辛い生活があったでしょう。
そして、この言葉を言えるというのは、
まさしく「福徳円満」のような気がするのです。

訪問看護を通して、私自身もたくさんのことを学び、感じ、考え、
それがまた自分自身の普段の生活をも豊かにしてくれているような気がします。
私自身が、3人の子どもの子育て中でありますし、
両親とも遠く離れた九州に住んでいることもあり、
人生の先輩方々のお話を聞いたり、
一生懸命、生活している方々に接することによって、
「生きること」の意味を感じ、学ぶことがたくさんあります。

私は、この仕事に携わって、
自分自身が少しずつ成長できる場として、
感謝することが多々あります。

いろいろな病気を抱えたり、さまざまな状況の中で
生活されている方々を看護しながら、
私自身の学びの場として、
これからも、勉強させていただきたいと思います。

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